漢方治療・不妊症

不妊症について

妊娠を希望している女性が二年以上妊娠していない場合を不妊症と定義しています。

不妊症治療

不妊症の治療法として体外受精や胚移植法、顕微受精など様々な外科的治療が盛んに行われていますが、漢方薬のみで妊娠されている方も大勢いらっしゃいます。

不妊症の原因

不妊の原因には、排卵障害や子宮内膜症によるもの、精子に対する抗体が出来てしまうものや、原因不明の症例も少なくありません。

漢方による不妊症治療

この中で漢方の有効なのは排卵障害、黄体機能不全といったホルモン異常が原因のものです。ホルモン異常とは女性ホルモンの一種、エストロゲンが過剰に分泌されることによって、排卵が抑制されたり、せっかく受精しても流産してしまう状態の事です。

生理とホルモン

本来女性の生理とはエストロゲンとプロゲステロンという2つのホルモンがバランスよく分泌する事によって始めて成り立つものです。生理や基礎体温の異常を解消し、正しい周期で排卵が行われる事により妊娠する事が出来るのです。

中医学に見る不妊症の原因と漢方

不妊症の第一の原因としては、虚弱体質や過剰なダイエットにより栄養不足となり、気(エネルギー)と血液が不足する事です。栄養価の高い食事や、漢方では「気」や「血」を補う「婦宝当婦膠」を服用します。

また、ストレスや体が冷える事によって血液が滞ってしまったら、生理は順調に行きません。生ものや冷たいものはなるべく控え、生理中は保湿に気を配って下さい。「冠元顆粒」や「逍遙丸」等の漢方薬を作ります。

最後は女性ホルモンを生み出す「機能」の低下、亜鉛やマンガンなど微量元素の不足でも起こります。クルミや食用蟻等で微量元素をバランスよく吸収する事が出来ます。漢方では「杞菊地黄丸」や「海馬補腎丸」「参茸補血丸」等を服用します。

西洋医学と中医学の違い

西洋医学ではホルモン療法により、生理周期を一定にしていきますが、これだけでは卵子の質は実質的に成熟しないで無理矢理排卵させる事になります。中医学では不妊周期療法により月経期、卵胞期、黄体期とそれぞれに適した漢方薬を服用し、女性の生殖器系の一連の働きを整え、妊娠しやすい環境作りをしていきます。

不妊周期療法

不妊周期療法の考え方としては以下のように考えています。

月経期

不要になった子宮内膜と血液をしっかり排泄するために、気血を巡らせる漢方薬を使います。

卵胞期(低温期)

成熟度の高い卵子と子宮内膜を作るために、補腎薬という漢方と血液を補う補血養血薬という漢方薬を使います。

排卵期

排卵をスムーズにいかせるための漢方薬、卵胞が黄体に変化するのを助ける漢方薬を使います。

黄体期(高温期)

子宮内膜に胚(受精した卵子が発育分割したもの)が着床しやすい環境になるように子宮を 温め、エネルギーを与える漢方薬を使います。

中医学での不妊治療とは以上の周期に合わせた治療と体によって漢方薬を組み合わせながら妊娠しやすい体質に変えて行く事なのです。