不安な動機。

「動機」は心臓の拍動をドキドキ、バクバクと強く感じたり、拍動が乱れたりする状態の事を言います。
狭心症や心筋梗塞といった病気が動悸の原因になる事がありますが、症状に不安のある方は、自己判断せずに、早めに医師の診察を受けましょう。
検査を受けて特に問題がない時は、セルフケアで体質を整えながら症状の改善をはかる必要があります。
現代医学でもまだ全容解明が出来ていない動悸ですが、循環器系疾患をはじめとする何らかの疾患や、虚弱体質、老化などと関係があると考えられています。漢方医学でも、臓気の虚損(臓気の疾患)が動悸につながるとされていますが、体全体の機能やエネルギーを指す「正気」が不足している状態にそもそもの原因があると考えられています。 正気の不足が慢性的になると次第に肉体が痩せ衰え体液も乾枯することになります。また、正気の不足は栄養物質「血」の巡りに悪影響を与えます。 その結果、拍動が強まったり、拍動に敏感になるなどして動悸の症状となり、それが不安感につながると考えられます。動悸の治療としては、体内の気を増やして全身を巡らせてあげたり、血の流れを整えたりします。
1)慢性的な心の不調「オ血」タイプ
動悸や狭心症、動脈硬化などの不調が慢性化していると、血流が悪化して「オ血」(血行不良)が発生し動悸の症状をなかなか改善出来ない状態になってしまいます。動悸の他に胸痛、胸苦しい、顔が黒ずむ、舌の色が暗い、舌にしみや斑点等があります。まず「オ血」を改善し心を健やかに整える事が大切です。
「オ血」を改善する漢方薬としては、「冠元顆粒」「血府逐オ丸」「三七人参」などが使われます。
2)食の不摂生に注意「痰湿」タイプ
脂っこい食事、冷たい飲食、暴飲暴食といった食の不摂生を続けていると体内に余分な水分「湿」が溜まり粘り気のある「湿」はドロドロ血を招き血流が悪化します。そして「心」に負担がかかり動悸が起こりやすくなります。肥満や高脂血症の傾向、胃がムカムカする。吐き気、痰が多い、舌の苔が厚い、舌の苔がネバネバする等の症状が現れます。「痰湿」をとる漢方薬としては「温胆湯」「勝湿顆粒」「晶三仙」などが使われます。
3)更年期や定年後に多いい「ストレス」タイプ
過剰なストレスや不安などが重なり続けると気の流れが滞り血がでます流に影響でます。結果、心に負担がかかり動悸を起こします。更年期や定年後は特にストレスや不安を感じやすく、動悸に悩まされている方が多いいようです。情緒が不安定になると胸苦しさや胸痛を感じる、のどの閉塞感、憂うつ、怒りっぽい等の症状が現れます。気を流す漢方としては「逍遥丸」「加味逍遥散」「半夏厚朴湯」「シベリア人参」などが使われます。
4)寒さや冷房に注意「冷え」タイプ
冷えると流れが悪くなります。冬の寒さや夏の冷房冷たいものの取り過ぎなどで体が冷えると血液は滞り心の機能は低下して動機が起こりやすくなります。体をしっかり温め寒いと感じたらすぐに一枚羽織る、温かいものを飲むなどこまめな対応が必要です。
「冷え」をとる漢方としては「婦宝当帰膠」「参茸補血丸」などが使われます。
5)疲労・倦怠感がある「気血不足」タイプ
心が元気に働いて血液をスムーズに保つためには、血を押し出す気のエネルギーが必要です。そのため病後や更年期、老化などで体の気や血が不足すると血液の悪化や心の機能の低下を招き、動機は起こりやすくなります。根本的な体力を養うように心がけて毎日の食事でしっかり栄養をとり不足しがちな気や血ましょう!
よく使われる漢方としては、「麦味参顆粒」「天王補心丹」などです。

暮らしの養生としては。
*質のよい睡眠をとる。
*強い刺激を避けて精神の安定はかる。
*コーヒーや濃いお茶は避ける。
*暴飲暴食、脂っこい食事は避ける。
*温度調節は小まめに。冷えを感じたらすぐ保温を。
などです。