新型コロナと腎臓病

慢性腎臓病の患者数は全国で1300万人ほどで成人のほぼ8人に1人に当たると言われています。
本人が病気に気かない事もよくあり、症状が進むと、四肢のむくみ、血圧の上昇、夜間の排尿回数の増加、また貧血や息切れ等も現れてきます。症状が現れ始めた頃には、腎機能がかなり低下している事もあります。元の状態に戻すのは難しいので、早期に発見し治療して行くことが重要です。
新型コロナは気管支や肺の他に腎臓にも影響を及ぼします。腎臓の血流量が急速に悪化したり、また血管の内皮細胞に炎症を起こすため、特に血管が多く集まっている腎臓にダメージが起こりやすいのです。またIgA腎症やネフローゼ症候群の治療を行っている方は免疫抑制剤を使ったりしてますので、感染症を起こしやすくなります。
では腎臓はどの様な働きをしているのでしょうか?
まず老廃物の排泄を行っています。尿素・ナトリウム・カリウム・マグネシウム・リン・クレアチニン等です。また塩分と水分の排泄調整をして血圧のコントロールをしています。そのほかエリスロポエチンというホルモンを放出して骨髄刺激して赤血球合成に関与したり、ビタミンDを活性化して骨を丈夫にしたりしています。
自覚症状としては、夜間尿が多くなる・貧血・高血圧・むくみ等です。
日常の注意としては、塩分の制限です。1日6g以下が理想ですが、厳しく管理するとそれがストレスになり具合の悪い事もありますので、なるべく薄味に慣れて来てから、少しずつ制限していきましょう!塩分の制限で血圧も少し低下すると思いますが、それでも最高血圧が150以上あれば降圧剤も必要になります。
水分は脱水により腎障害を起こしますので、適度に飲む必要がありますが、腎機能が悪化してくると、排泄機能がうまく行かなくなり、体内に貯留して水毒症を起こしますので、注意が必要です。
タンパク質は重要な栄養素ですので必要量は摂取しなくてはなりませんが、タンパク質の老廃物が腎機能を悪化させることがありますので、注意が必要です。
また特に糖尿病の方や脂質異常症の方は特に注意が必要です。血管が傷つきやすく硬くなりやすくなり腎機能の低下をはやめます。糖尿病以外の方でも砂糖・果糖の取り過ぎは腎臓の微小血管に炎症をおこしますので、注意が必要です。
運動は特に制限する必要はありません。過度の運動は腎臓に負担をかけることがありまが全く運動しないことも体によくありません。定期的に適度な有酸素運動を続けることが大切だとされていますので主治医と相談しながら自分に適した運動を行うようにしましょう。
腎臓に負担の大きい薬はなるべく避ける事が賢明で代表的なものは消炎鎮痛剤です。また経皮吸収の良い鎮痛剤貼り薬、市販の総合感冒剤さらに抗生物質、合成抗菌剤なども控えたいお薬です。
漢方薬は現代医学的に見ても様々な効果を期待できます。漢方薬には体のバランスを整える作用があります。
腎臓血管血流量の適正維持、免疫調整作用、抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用、血糖降下作用、血中脂質低下作用、
高血圧に対して血圧低下作用、抗血栓作用、・・・など期待できます。
まず第一選択は「駆瘀血剤」と言って血液の粘度を下げ酸化や炎症の予防を行います。また免疫調整や老化を防ぐため「補腎剤」
を使います。ビタミンD不足に要る骨粗鬆症にも効果的です。またむくみが強い時は「利水剤」等も使います。
末期の状態になると漢方でさえ腎臓に負担になることもありますので、早期発見・早期治療が大事だと思います。