正気と邪気

漢方医学の考えでは、昔から人体のウイルス等との戦いを「正気」と「邪気」との戦いと考えています。正気とは邪気に対抗する抵抗力・自然環境に適応する能力・健康を促進する力です。邪気とは病気をもたらす気で、主として六淫(六気)の邪と考えています。

これらは自然界に常にある気ですが、正気の虚弱を衝いて人体に侵入します。人体に侵入した時点で邪気と呼ばれます。

正気は邪気に抵抗し、邪気が正気を損傷するように、両者は対立しています。疾病とは、この邪気と正気の抗争した結果です。このふたつの気の盛衰を的確に把握するのが漢方の治療として大事な事なのです。正気が旺盛であれば、充分に邪気に抵抗できますので、発病しない、発病しても軽微です。邪気が強盛であれば人体を損傷します。正気が衰弱すれば邪気に対する抵抗力が低下しますから、邪気の侵入を容易にします。

これらのことによって、邪気は日々に増長し、病気は悪化します。正気と邪気が共に弱まれば、正気と邪気の抗争も持続状態になり、疾病も慢性化します。邪気には二種類あり、外から侵入してくる外邪気と人体に必要な気血水がなんらかの原因で停滞して病理産物が出来る内邪気とがあります。その二つの邪気はほぼ同時に 現れ、人体に悪影響を与えます。

現在の新型コロナにたとえれば、外邪気のウイルスが侵入したとき免疫力の正気が戦い防衛します。しかしながら、内邪気の慢性疾患を持っている人は正気が弱ってしまします。ウイルスと戦うには免疫力を高めながら、慢性疾患も改善していかなければなりません。

昔から自然治癒力とよく言いますが、邪気と戦うには免疫力のみではなく、体の中の気と血と水がスムーズに巡回しバランスがとれているかが重要になってきます。

寝不足はありませんか? 
ストレスは大丈夫ですか? 
適度な運動はしてますか? 
バランスの良い食事はとれていますか? 

日頃気をつけてウイルスと戦う力をつけておきましょう。 人の体はしっかりと治す力を持っています。

普段予防接種を受けている方も、インフルエンザにかかってしまう方もいますね。 抗体を接種しても最終治していくのは、人間が持ってる自然治癒力です、ワクチンは万能ではありません。 外邪気にも内邪気にも打ち勝つ作りをしていきましょう。