新型コロナと血栓症

新型コロナの感染拡大傾向が止まらない今、いつものように外出や旅行で夏を楽しむのは厳しい状態です。ストレスで免疫機能が低下すると、感染しやすくなります。リラックスして過ごせるように心がけないといけませんね。

インフルエンザと違って新型コロナは全身病ともいわれ、いろいろな臓器不全をおこします。あるデーターでは重症化して死に至る致命率は、80歳以上の高齢者15%、循環器疾患10%、糖尿病7%、慢性呼吸器疾患6.5%、高血圧6%、悪性腫瘍の治療中5.6%、健康成人0.9%という報告があります。明らかに全身に疾患のある方は重症化しやすいようです。

サイトカインストームで血管が傷つき血栓を起こし血管が詰まってしまうのが原因と思われます。

漢方的には、舌に膩苔という厚い苔のある人と瘀血(血液ドロドロ状態)の人は重症化しやすいとのことです。厚い膩苔があると水が滞りやすい「痰飲」の状態で、痰が詰まりやすくなります。また瘀血の人は血管が詰まりやすくなります。毎日の健康管理が新型コロナの予防にもなりますね!

ウイルス学が専門の増田道明教授(獨協医科大学)が以下のように発言しています。

「新型コロナウイルスで亡くなった患者さんの病理解剖は、感染を恐れて行われないことが多い。重症化のメカニズムが良く分からないのはその為でもある。しかし、最近になってようやく、病理解剖に関する論文が報告されるようになってきた。

その内容から示唆されるのは、血液中に移行したこのウイルスが血管の内壁の細胞(内皮細胞)に感染し、すると内皮細胞が傷ついて炎症が起こる可能性だ。その結果、そこで血が固まったり(血栓症)、その血の塊が流れて行って他の臓器の血管が詰まってしまったり(塞栓症)すると思われる。

例えば、エコノミークラス症候群は、じっと座っていると脚の血流が滞って血栓ができ、それが流れて行って肺の塞栓症が起こる病気で急に呼吸困難が起こる。新型コロナの場合も、肺炎による呼吸困難だけでなく、肺塞栓症のせいで突然呼吸困難が起こる可能性があるようだ。

脳の血管が詰まれば脳梗塞、心臓なら心筋梗塞、腎臓なら腎不全というように、 この病気・COVID-19 で見られるいろいろな症状や合併症はウイルス感染によって血栓症 や塞栓症が起こることで説明できるかもしれない。サイトカインが過剰産生されると、それによって血管内皮細胞が傷つけられ、 血栓ができやすくなることは従来から知られている。

従って、ウイルスだけでなく、サイト カイン・ストームも血管炎や血栓・塞栓症を引き起こしている可能性がある。逆に、血管が傷つくことがサイトカイン・ストームの引き金になっている可能性もあり、卵と鶏のような関係かもしれない。その結果、いろいろな臓器で血栓症や塞栓症が起こって血液が行き渡らなくなり多臓器不全に陥るため、最悪の場合、死に至るということが考えられる。」