新型コロナと自然免疫

新型コロナウイルスの感染拡大がなかなか止まりません。未知のウイルスに不安が増すばかりですが、人類は長いウイルスとの戦いを経験してきました。その経験と確かな情報を受け止める事
によって正しい対応が出来るのではないでしょか?漢方医学の考えも含めて、新型コロナの事を考えて行きたいと思います。

新型コロナは口や鼻や眼などの粘膜に侵入しますがそれを暴露といいまだ感染している状態ではありません。そしてしだいに人間の細胞の受容体にくっ付き細胞のなかに侵入してきます。その状態が感染です。

暴露の時点で防御反応の自然免疫が働き、粘膜の中のIgA抗体等の働き等で貪食細胞のマクロファージや樹状細胞がウイルスを貪食していきます。また白血球の好中球も血管の中でウイルスと戦い死滅させます。これらの免疫細胞は警官がパトロールをしていて、怪しい者を捕まえると例えれば解りやすいと思います。

国際医療福祉大学の高橋泰教授の話によると、

「日本は強力なロックダウンを実施しておらず、新型コロナに暴露した人が欧米より極端に少ないとは考えにくい。むしろ先に述べた「これまで多くの人が新型コロナにすでに感染しているが自然免疫でほとんどの人が治っている」という仮説に立って、抗体ができる前に治っているので、抗体陽性者が少ないと考えるほうが自然であろう。

新型コロナの全体像を把握するためには、全国の暴露者数を推計することが大切なので、①全国民1億2644万人、②年代別患者数の実数値、③抗体陽性率推計値(東京大学の推計と神戸市民病院の推計)を使って、パラメータである暴露率(新型コロナが体内に入る率)をいくつか設定し、動かしながら、実際の重症者や死亡者のデータに当てはまりのよいものを探るシミュレーションを行った。

まず、国民の少なくとも3割程度がすでに新型コロナの暴露を経験したとみられる。暴露率はいろいろやってみたが、30~45%が妥当だろう。そして、暴露した人の98%がステージ1かステージ2、すなわち症状か風邪の症状で済む。すなわち自然免疫までで終了する。」

東洋経済より

ではその自然免疫を強化するにはどうすればいいのでしょうか?よく言われているのは、適度な運動・バランスのいい食事・質の高い睡眠等です。それと同時に免疫細胞がスムーズに移動できるよう血液やリンパ液の状態を良くして行くことに心がけなければなりません。

漢方医学の考えでは、鼻・気管支・肺・皮膚・皮下組織等を肺系と呼びその組織を巡回しながら守っている生体エネルギーを「衛気」と言います。この「衛気」が不足す
ると免疫力や免疫調整力が低下して、ウイルスが体内に侵入してしまします。この状態を「衛気虚」といいます。

自然老化やその他多様な原因によって引き起こされます。皮膚や粘膜機能の低下で免疫力が弱くなった状態の事です。漢方では補気薬という薬がありますが、衛気力を高めて、ウイルスの侵入を防ぐ作用があると言われています。予防として自然免疫(衛気)を普段から高めていく必要がありますね!